共創資産運用クラブ
WEEKLY LETTER No.128 / 2026.07.18

分散のつもりが偏りだった話——「枚数」ではなく「要因」で見る

会員の皆さま
今週もお忙しい中ありがとうございます。共創資産運用クラブ週次レターです。
気温の高い週は、判断も雑になりやすい——そんな雑談から始まったのが、今週の定例ミニ勉強会でした。

今週の一本:銘柄を増やしても、リスクは減らないことがある

「分散していますか?」と聞かれて、多くの人が保有銘柄数を答えます。5銘柄、12銘柄、20銘柄。 数字が多いほど安心する気持ちは分かります。ですが、岩田誠一講師が今週強調したのは別の軸でした。 分散とは枚数ではなく、収益の源泉(ファクター)を分けること——この再確認です。

実際、クラブ内の匿名ケース共有では、銘柄数は多いのに、値動きの相関が非常に高いポートフォリオが複数見つかりました。 見た目はバラエティ豊か。中身は、同じ景気感応度、同じ為替感応度、同じ金利感応度。 「分散しているつもり」は、最悪の偏り方です。つもりは、口座を守りません。

岩田講師メモ:
「守っている感覚」と「守れている状態」は違う。感覚を否定する必要はないが、状態は数字で確認する。」

良い点:言葉が現場語に落ちてきた

ここ数ヶ月、会員の質問が変わってきました。「何が上がりますか」より「自分の偏りをどう測りますか」が増えた。 これはクラブの学習が、消費型から検証型へ移りつつある兆候です。岩田講師の繰り返しの効果が、少しずつ出ている。 会の後に、相関やセクター比重を自分で表計算する人が増えたのも前向きな変化です。

また、今週は「家族に説明する練習」を取り入れました。難しい言葉を使わずに、自分の配分理由を三分で話す。 上手に話せる人ばかりではありませんでした。それでも、詰まる箇所がそのまま理解不足の地図になる。 この設計は地味ですが、確実に効きます。派手でなくても、効きます。

気になる点:チェックが「任意」だと、必要な人ほどやらない

一方で、違和感もあります。偏り診断シートは配布済みですが、提出は任意。 提出した会員の質は高い。提出しない会員の中にこそ、本当に点検が必要なケースが混ざる可能性が高い。 任意制は尊重の表れでもあり、逃げ道にもなります。岩田講師も「強制はしたくない」と述べました。 その優しさは人柄として美しい。運用コミュニティの設計としては、少し甘い——そう感じた週でもありました。

今週の注意喚起: 「分散しているから大丈夫」という言葉を、説明の終点にしないでください。 大丈夫の根拠を、要因・相関・最悪月の想定で一文添える。それだけで判断の質が変わります。
岩田誠一
岩田 誠一
共創資産運用クラブ 主席講師
「私は『増やしましょう』より先に『何に依存しているかを知りましょう』と言うことが多い。 依存を知る作業はワクワクしない。だから後回しにされる。後回しにされた依存は、静かに肥大化する。」

簡易診断:ご自身の口座を三行で

観点 問い 記入例
収益の源泉 値上がりの主因は何か(景気/金利/為替/個別材料) 景気敏感が6割
同時に傷つく条件 どんなニュースでまとめて下がるか 円急騰+海外減速
現金の意味 現金は待機資金か、不安の緩衝材か 緩衝材寄り
説明可能性 家族に三分で理由を話せるか まだ二箇所詰まる

今週の行動リスト(短く)

リストは五つです。五つ全部を完璧にやる必要はありません。一つでも、先週の自分より具体的なら十分です。 共創資産運用クラブが目指すのは、毎週ヒーローになることではなく、毎週少しだけ説明可能になることです。 その歩幅は地味です。地味な歩幅だけが、長い坂を越えられることもまた事実です。

編集部から:褒め言葉のあとに置く一文

岩田講師の会は、聴いていて気持ちが整います。整うこと自体は悪くありません。 ただ、整った気持ちのまま口座を開くと、確認作業を飛ばしやすくなる——そんな自己観察報告が今週も届きました。 良い講義ほど、受け手側に「冷却時間」が要るのかもしれません。 会の翌日に点検する、という小さな習慣を、私たちはこれからも推します。押し売りではなく、推奨として。

来週のレターでは、債券ラダーと生活防衛資金の境界について扱います。 「安全資産」という言葉が、どれほど多義的か。そこを丁寧にほどきます。

P.S. 今週の名言投票(非公式)一位は、岩田講師の「つもりは口座を守らない」でした。 二位は会員からの「分散の枚数を数えるのをやめた」——現場の言葉が強い週でした。